[テーマ]
A Comfortable Discomfort
[インスピレーション・ルーツ]
完璧じゃない。でもそれがいい。この作品は「整っていないもの」に惹かれ続けてきた自分自身の感覚から生まれました。左右のバランスが微妙にズレた表情、アンバランスに揺れる髪、ピントが合っていない目線。そのズレにこそリアルが宿ると信じています。体温を感じるような作品になっています。是非、その辺りも感じて貰えると嬉しいです。
[カットへのこだわり]
今回のカットは完璧なシルエットよりも「僅かな違和感」を残すことにこだわりました。計算しすぎたカットではなく、むしろ崩して、空気を入れて、余白を作る。その曖昧さの表現をカットにこめました。
[カラーへのこだわり]
空気を纏うようなベージュを表現しています。僅かにくすんだアッシュベージュを使う事で、目を奪う派手さではなく、体温を感じる配色、触れたくなる空気感の演出をしています。「色を主張する」のではなく、存在感の背景に溶け込むような色を目指しました。それが「心地よい違和感」に必要な静けさでした。
[スタイリングへのこだわり]
このスタイルではツヤも束感もボリュームも全てちょっとだけ外した所に置いた。ヘアとしての完成度を求めすぎないことでその人の温度や、動きや、曖昧さが滲み出るようにしています。ベースは極力手ぐしだけで整う質感を意識。質感づくりには重すぎないオイルを少量だけつけています。あえてアンバランスに崩しを入れることで、生きている髪の毛を表現しました。
[作品にかける想い]
”このズレに、救われる誰かがいる” この作品は「かっこいいスタイルを作りたかった」わけでも、「技術を見せたかった」わけでもない。”居場所”を作りたかった。完璧じゃなくていい。かっこよくなくていい。笑顔じゃない瞬間があってもいい。その全てを肯定できるデザインを作りたかった。世の中には、「綺麗にして出てきて」「ちゃんと整えて」「自分をもっとわかりやすくして」って言われ続けて本来の”自分”の形がわからなくなっている人達がたくさん居る。でもこの作品はそうゆう誰かに向けて「あなたのままで美しい」って静かに強く伝えるものでありたい。ウィンクもほぐれた髪も、無防備な表情も、全て仕上がっていないからこそ、今この瞬間を生きてるって感じる。これをみた誰かが「あ、私もこのままで良いかもしれない」そう思えたら、美容師として、これ以上の幸せはない。最後に、”心地よい違和感”を否定しない世界を作りたい。そしてその最前線にヘアデザインが立てることを証明したい。